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【書評】ブラック企業-日本を食いつぶす妖怪

ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪 (文春新書)

ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪 (文春新書)

読みながら何度か涙を流しそうになった。最近話題のブラック企業についての新書。著者の今野晴貴さんは一橋大学博士課程在籍者。


本書ははじめにブラック企業の現状、実態を説明してゆく。その中身は新卒の大量採用とその後の選別による若者のカット。そしてその方法は長時間労働と精神的重圧に寄る鬱病の発症などの精神障害だ。

さらにブラック企業の社員を辞めさせる技術について語り、かつブラック企業から守る方法を挙げてゆく。

面白かったのは後半、どうしてブラック企業が生まれたのかという章だ。もともとの日本型雇用形態である終身雇用と年功序列、そしてこれらと表裏一体の強い命令権のうち、ブラック企業は命令権だけを残しながら社員の福祉を担う部分をカットしている。ブラック企業も雇用の歴史の中から生まれた存在だったのだ。

そして最後はブラック企業に対する対策が論じられる。


本書はこれから就活をする大学生に、さらには社会構造を知らない高校生にも、もちろん現在働いている若い世代皆にとって考えて欲しいテーマをわかりやすく解説した。優良書でした。

是非読んでみてください。

生活保護:知られざる恐怖の現場 (ちくま新書)

生活保護:知られざる恐怖の現場 (ちくま新書)